聞き書き集「石徹白の人々」
聞き書き集は2冊発行されている。
友サの話は1冊目に掲載されていますが、他にも興味深い話がたくさん載っています。
「てんから」についての語りを紹介します。
「毛バリも道糸も、全部自分で作ったんですよ。鮎掛けに行っても、エサ釣りに行っても、毛バリに行っても、自分の自己流で作った針でないと、全然使わない。
若い頃は毛バリ専門やった。よそから見えたお客さんが、やっぱり買ったハリよりこのハリのほうが掛かりがいいし、魚が来る率も倍くらい来る。それでこのハリを持っていかれた。
ニワトリは飼っとった。毛バリの蓑毛にするために飼っておった。今はやっとらんけど。
魚にはこれ(写真の毛バリ)が一番適しとるらしい。石徹白におる虫に似ているんじゃ。
ぜったいにこれの方がくるんじゃ。買ったハリよりこれの方がくる。僕の作ったやつは間違いない。
道糸は全部馬の毛ですよ。白馬の毛。
一番下が4本、4本、5本、一番上が6本。だんだん落としていって、上ほど太くして、そうするとまっすぐにシューっと飛ぶ。
毛鉤はいいんだけど、目がうとうなって、合わせがやれんようになった。」
写真は不鮮明ですが、ミツアキさんの毛バリによく似てますね。
石徹白の人は「友サは小さい毛バリを使っとったぞ」と言います。
フライを始めた25年前、始めたものの、とても難しくてまったく釣れないのに、ぎゃくにその奥の深さにどんどんハマってしまい、毎週のように石徹白に通ってました。その頃の友サは、石徹白漁協の監視員で、行けば必ずと言って良いほど、出会ったものです。
どんなところで釣ってても、背後霊のようにひょっこり現れる、とても仕事熱心なジイサンでした。
これは後に知ったことですが、その頃友サは3輪の原付バイクに乗っていたんですが、どうやら友サは、いわゆる「イトシロ専用メンキョ」だけしかお持ちではなかったらしい。
いろいろと武勇伝の多い人でした。
、
by itoshiro-sp | 2016-07-04 13:52 | イトシロ