馬の毛を縒って作るてんから糸

「石徹白てんから」では縒り糸をテーパーに仕立てたラインを使います。昔は馬のシッポの毛を使用していましたが入手が困難なため、今ではナイロン糸が使用されています。
私のラインはナイロン1.2号を5本縒り、4本縒り、3本縒りと段落としにします。最近、主流のレベルラインより重いですが自分好みのテーパーが自在に作れますし、テーパーラインのテンカラはゆったりとしたリズムの釣りになります。そして何よりも自分で自分好みのラインを作るという喜びがあります。作るといっても特別な道具はいりません。自分の親指と人差し指で縒るだけなんです。自分で作ったもので釣りをするって楽しいですよ。
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今回は馬の毛が手に入りましたので、昔ながらの馬糸(バス)を作ります。
白毛と黒毛がありますが、一般的に白毛の方が良いと言われてますが、あまり変わらない気がします。ま~色的な好みかな。
馬の毛はナイロンほど強くないので白でも黒でも強く縒ると切れます。慎重に縒っていかなければなりません。

馬毛ラインも何本か作ったので石徹白フィッシャーズホリデーで販売予定です。
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右手の親指を前に押し出すように3センチくらいづつ縒っていきます。
馬の毛は太さが不揃いなので縒りにくいですが、少しづつやって行けばだいじょうぶです。
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普段「おいで」って言っても来ないくせに、こっちが何か始めるとすぐ邪魔します。

竿、糸、毛鉤、すべて自分で作った物で出来る釣りってないですよね。昔の人と同じ道具が現代でも通用するというか、まったく問題なく使えるってすごいことだと思いませんか。
私はこの究極のシンプルさにこそフライフィッシングでは感じられないロマンを感じます。それに魚に対して間違いなくフェアーですよね。
ちなみに、私がテンカラ釣りをした場合レベルラインでやっても馬毛ラインでやっても同じ結果になるはずです。つまりどちらかのシステムの方が良く釣れるなんてことではなく、単純にヘタな人よりうまい人の方が良く釣るという問題です。つまり私は平凡ですからどちらでやっても平凡な結果となります。

ヘタより、うまい方が良く釣る話のついでにエピソードをひとつ、先日石徹白での作業後、若いイトシロチルドレン二人が釣りをしたそうです。始めようとしたら、一人の子がリールを忘れてきました。さてどうしようと思ったとき彼らが乗っていた軽トラ(私の軽トラ)のボックスの中に私のテンカラ道具(昔テンカラ)一式を見つけました。もうこれでやるしかない状況です。つまり一人はいつものフライ、一人は一回もやったことのない初めての「石徹白てんから」しかも竹竿・・・・結果はテンカラの子が6匹、フライの子が1匹・・・・やっぱりフライよりテンカラの方が釣れる?・・イヤ~イヤ~・・ただうまい子の方が釣れただけなんですわ。
テンカラをやった子が後で言ってました。「フライだったらもっと釣れたのに」って。

PS,
これがもしも、テンカラしかやったことがない人が、竿を忘れてフライでやらなければならなくなったら、どうだったんだろうと想定するとちょっと面白いですね?
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# by itoshiro-sp | 2015-05-29 16:23 | てんから  

在来渓魚ワークショップ(Wild Trout Work Shop)

今回の石徹白フィッシャーズホリデーから、メインイベントの趣向をがらりと変えて、「在来渓魚ワークショップ」(Wild Trout Work Shop)と銘打って石徹白川の生態系保全作業を実際に経験してもらうことになりました。皆さんが日頃釣りをしているフィールドの管理の現状と在来渓魚たちの生態環境を保護することの重要性を体験的に学んでいただこうという企画です。

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峠川C&R区間中流部の杉林にある細流を渓魚が遡上産卵可能な状態にする計画です。今回の作業現場ですがごらんのように荒れています。
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当日の作業に必要になる砂利の運搬作業などの下準備に行ってきました。(5月22日)
思えば、石徹白川とのこんな付き合いも、今年でかれこれ18年目(1,996年より)です。
そう言えば、この日、スキー場橋の下流右側の緩い流れの中に見えているサカナをカウントしてみたら約50匹確認出来ましたよ。さすがに私もあの密度にはおどろきました。あれ見たら誰もが感動するでしょう。(知らない人は成魚放流だと思ってるようですけどね。)
ちなみに18年前というと、当時、峠川は禁漁区だったんですけど橋の上からは、なぜかほとんど魚は見えなかったなぁ、どうしてだったのかなぁ。
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完成するとこんな感じのハッチェリークリークになる予定ですが、今回も2~3年がかりの計画です。上の画像は本流第一エンテイ下の人口産卵河川5年目(当日)です。3~5センチの稚魚がたくさん泳いでいます。美しい小川でしょ。
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なお当日、エンテイからの一番太いパイプがゴミで詰まっていましたので復旧してきました。早く気がついてセーフでした。
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本流は雪代でまだ少し増水中。マッちゃんの勇姿です。マッちゃんとも今年で18年ですか。

フィッシャーズホリデー転じてフィッシャーズワークデーになっちゃいましたね。誰も来てくれなかったりしてね?

イベント案内
http://www.itoshiro.jp/2014-itoshiro-fh/2014home.html
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# by itoshiro-sp | 2015-05-28 18:48 | イトシロ  

石徹白フィッシャーズホリデーで毛鉤販売します。

石徹白フィッシャーズホリデーまであと2週間です。
「石徹白てんから研究会」として毛鉤も販売しようと思い、久しぶりに100本ほど巻きました。
お店は「アトリエKAN」として出店し石徹白専用の竹竿(フライ用てんから用)、毛鉤、馬糸(ライン)、その他小物など私が作りためたいろいろな物を並べるつもりです。
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毛鉤は伝統的なキハダシングロです。
フックは某メーカーのカン付きバーブレス14番ですが、じつは、先日ジョンからお土産としていただいた、イマージャーフックという名称で販売しているイギリスのフックとまったく同じもののような気がします。偶然でしたが私もテンカラ毛鉤にはこのフックばかり使っています。
毛鉤巻きは久しぶりでしたが、フライの毛鉤に比べたらとても単純なので100本なんてあっという間に巻けました。

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元気になった姿を見てください。先日撮影用に釣りをした時の画像です。
約2年ぶりのテンカラ釣り、というか峠川で魚を釣るのはもっと久しぶりです。
C&R区間は今年から10尾までという釣数制限が設けられましたが個人的には10尾でも多いと思ってます。日本においてC&Rはきびしい制限であり、この制限を受け入れることができる釣り人だけが利用している釣り場ですから、リリースさえすれば制限無く釣っても良いと考える人はいないはずです。そんなことしてたらC&Rという行為について社会にちゃんと説明できる大義がなくなってしまいます。

下記は先日、中央水産研究センターの中村智幸氏からいただいたメールです。

「現時点」での「私」の「試算結果」をお知らせします。
  全長15cmの渓流魚を1尾増やすために必要な種苗代
    稚魚放流 413~1,042円
    発眼卵放流 158円
    親魚放流 78~155円
 どの方法を実施すれば安価で済むか、一目瞭然だと思います。
             増養殖研内水面研究部 中村

中村氏は水産庁に近い独立行政法人で渓流管理の研究をされており、石徹白川にも何度も視察に来てもらっている方です。つまり稚魚放流から15センチ以上まで育つためには1匹400円から1000円もかかっているってわけです。稚魚放流を熱心にやってる漁協にとっては日釣券1000円なら2匹まで年券でも10匹までしか釣られたら困るんですね。
そして、中村氏は「個人的見解では一般的な釣り場で1日に釣っても良い数は2~3匹が妥当である。8~9匹以上も釣りたい人は自然釣り場には向いてない釣り人です」と結んでおられます。
(注、8~9匹という数字は一般的な釣り人が一日にどれくらい釣りたいと思っているのかという調査の平均値だそうです)

石徹白C&Rの場合は、単純に生産コストだけを計算したらもっと安価になるかもしれませんが、天然魚ばかりという価値はいったいどれくらいになるんでしょうね?1匹3000円くらいは行くんじゃない?
いずれにせよ、ただ、たくさん釣りたいという人は石徹白川のようにきびしい制限の川には向いてないと考え他の河川へ行くべきです。

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若者に介護してもらってます。まるでご隠居ですな。もちろんこの一匹でじゅうぶん楽しませてもらい竿を納めました。

「釣って釣って釣りまくりたいなんて人たちに、来てほしくない。そんな人たちのためにここを作ったんじゃないよ」
そんな私の話にポールたちも「同じ気持ちだ」と共感してくれました。
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言葉は違っても釣りの話なら、なんとなく通じちゃうんです。
左から、ジョン、スティーブン、私、ポール、

向こうの方で若者2人が黄昏れています。
川に来てもガツガツとせず悠々としてます。これぞイトシロスタイル、だってここのサカナたちは、何処へも行かないんですからあわてなくてもいいんです。
彼らは石徹白C&Rに育たられたイトシロチルドレンです。この余裕「カッケェ」でしょ。
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# by itoshiro-sp | 2015-05-24 07:17 | イトシロ  

イギリスの本に石徹白の記事が載りました。

石徹白川の取り組みがイギリスの野生鱒保護団体の機関誌に取り上げられました。
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上等な紙質の立派な機関誌です。
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「日本における野生渓流魚の保護事例を研究する」として紹介されています。
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イトシロッ子たちもイギリスの本にデビューしました。


昨年、「Wild Trout Trust」(ワイルド トラウト トラスト)という野生鱒保護団体に所属しているポール・ギャスクルというイギリス人が石徹白川を訪れました。私は、闘病中だったので会うことは出来ませんでしたが、彼がイギリスに戻ってから石徹白川での河川管理の軌跡と生態系保全の考え方をイギリスの機関誌へ執筆してくれないか?と依頼されたのです。何でも日本へ来ていろんな川を見て石徹白川のイワナの多さに感動したそうで、日本語で書いてくれれば良い、というお話だったのでお受けした次第です。

その本が届いたのです。それも仲間と4人で届けに来てくれました。
「遠い国の釣り人にまで注目される川になったんだな~。あきらめないでやってきてよかった。
でもね、日本では、まだまだぜんぜんマイノリティーなんですよ」「となりの漁協からも見に来ませんよ」って伝えたら「他の川も見て来たからわかります。人間が欲望をちょっとだけ我慢できればこんなに素晴らしい環境が取り戻せるのに残念ですね。でもイトシロハホントニスバラシイ」と何度も言ってくれました。褒めてくれるのはイギリス人だけってか・・・・涙

日本人は魚と見たら捕って喰いたいだけの人種ですから?、捕って喰っちゃダメとは言わないけどほどほどに頼みますわ。

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右からディーン(カメラマン)、ジョン(ロックバンドのベーシスト)、スティーブン(通訳)、私、ポール、今回はジョージとリンゴは来ませんでした。・・・な~んてね。笑。

ポールとジョンは昨年テンカラの取材で日本に来て石徹白川を知ったという。
二人とも子供の頃からフライフィッシングをやっていたと言うだけあって、私の作った石徹白フライロッドを振らせたらきれいなループを見せてくれた。もちろん「石徹白てんから竿」でも釣りをやってもらい、ポールがイワナを釣ってくれました。
彼らには伝統を守ることの大切さがとても良く理解できるようでしたし、私の作った「石徹白てんから竿」にも興味津々だったんで「イギリスで使ってくれ」って進呈しました。

ポールが僕に本を渡すときに「サイトサン、ツマラナイモノデスガ」って言ったんで僕の方からも「つまらないものですが」ってお返しときました。



本の内容につきましては、私が寄稿した日本語文を紹介します。
省略されてるとは思いますが、下記が原文です。

ワイルド・トラウト・トラスト寄稿資料

石徹白川(いとしろがわ)の紹介
南北に長い日本のちょうど真ん中あたり、日本海に注ぐ九頭竜川の上流部で合流する大支流が石徹白川です。その水源は白山連邦の南端から流れ出ます。九頭竜川水系はその大半が福井県内を流れますが、支流石徹白川の最上流部約20㎞は岐阜県となります。ここに石徹白という歴史の古い小さな集落があり、現在は約270人が暮らしています。この流域の岐阜県部分の河川管理は石徹白漁業協同組合が担います。

日本の河川管理事情
日本ではほとんどの河川を漁業協同組合という組織が管理しています。この組合は漁業法に基づき漁業者が設立する団体であり、各県の知事から認可を受けて県の指導に従う運営が通例となっています。本来は漁を生業とした漁師たちで構成される組織ですが、石徹白漁業協同組合には漁師と呼べる組合員は現状では一人もいません。漁業協同組合に漁業権が認可される条件として、指定された漁業権魚種の増殖と環境保全の義務を課せられているが、現実には増殖と環境保全のどちらにおいても、大して効果が上がっているとは言えない。その理由は、日本では漁業者及び遊漁者(釣り人)に対しての、漁獲制限はほとんど課されることがないので、漁業協同組合が県の方針に従いどれだけ種苗放流をしても、それを上回る乱獲構図により生態系はどうしても荒廃してしまいます。こうなることは種苗放流に偏った行政の指導方針に大きな要因があると思われます。

釣り人からの提案
今から15年前、そのような河川管理に疑問を持った釣り人が声を上げました。もっと河川環境の保全に重点を置いた、自然再生産ができる生態系を復活させようと、キャッチ&リリース(以下C&R)を義務付けた釣り場を作りましょうと提案したのです。それが上手くゆけば釣り場としてのクオリティと河川環境の両方が向上できるはずだというものでした。石徹白漁業協同組合はその提案を受け入れ、管内を流れる小支流の峠川にオールC&Rの釣り場を設けたのです。場所の設定には、何よりも魚たちが産卵できる環境を優先したことでその効果はすぐにあらわれ、その年の産卵期には産卵床が激増したのです。そして過去10年以上にわたり、養殖魚は一切放流していないにもかかわらず、魚の密度は管理流域内で一番高いエリアとなっています。この成功によって、産卵できる親魚を残しさえすれば生態系は復活できることが実証されたのです。我我が声を上げた15年前はC&Rを認めたくない人たちから「いったんハリにかかった魚はリリースしても死んでしまう」と言われたものですが、今ではもうそんなことを言う人はいなくなりましたし、漁業協同組合員の意識も大きく変わって、産卵床の造成、またその後の大規模な人口産卵河川造りへとつながり現在に至っています。

日本のC&R事情
日本では、魚釣りにおいて釣れた魚を食べることは当然というのが社会通念であり、釣った魚を放すことはまったく理解されない国でした。「食べないのなら何のために釣りをするの?」が一般的な考え方です。そのうえ、日本には遊びの釣りを管理する法律がなく、すべて漁業法のもとで管理されており、指導する行政もC&Rなどは漁業的にありえないという考え方になるのです。そのため行政は長年にわたり、釣り人が釣りたいだけ釣って、カラッポになってしまった川に、養殖の種苗を放流すれば、それでいいという指導を続けてきました。ようするに、日本の河川管理には産卵のための親魚を残す発想がまったくないのです。残念ながら今でもほとんどの河川でこのような管理がなされています。
このような日本において、C&Rを導入することはまだまだ大変なことで、一漁協の管理面積のほんの数%をC&R区間にするだけでも、かなりハードルは高いのが現状です。

人口産卵河川
日本には急勾配な河川が多く、ほとんどの川の上流部はいくつもの砂防堰堤等で寸断されているため、この堰堤が魚たちの生態系にとって大きな障害になっています。特に産卵のために上流を目指すイワナやヤマメには深刻な障害となり、秋になると堰堤直下は行き場を失った魚たちの溜り場となってしまいます。石徹白川では、このような弊害を補助するために、本流の第一堰堤下流の右岸に、人工的な産卵用小河川を造成しました。川幅1m~1.5mで全長200mとけっこうな規模であり、秋になると多くの魚たちがここを利用します。とくにイワナは産卵においてこのような細流を好むので、毎年10月下旬から11月にかけて大量のイワナで溢れます。このような管理手法は、最初にそれなりの工事が必要となりますが、一度作ってしまえば毎年産卵期前のメンテナンス程度で長年にわたり効果を維持することができ、大変持続性の高い管理法といえます。そして何より、ここで再生産され命をつないでゆくことが、より石徹白川に適合する遺伝子が引き継がれ、強い野生魚の増殖が実現します。また、このような循環型の管理には、環境保全という大義が生まれるので、釣り人だけでなく自然を愛する一般市民からも支持が得られることが、関係者のやりがいにつながります。この人口河川事業も、最初から100%の成果が得られたわけではありません。最初は手探りで始めたものも、2年目3年目になるとイワナが好む流速などもなんとなく分かってきますし、孵化した後の仔魚や稚魚期の生息環境も考えられるようになってきます。毎年このような改善を重ねてゆくことで、人工河川の産卵環境は確実にレベルアップしています。4年目を迎えた今では、自然の小川と区別がつかないほどになっています。そして、生態系の循環が簡単に観察できる教育の場という、副次的効果も生まれました。

小学校つりクラブ
石徹白地区の小学校は全校生徒10人です。3年生から6年生の子供たちに週1回、フライフィッシングを教えて4年目になります。学校はC&Rエリアの近くのため、子供たちは歩いてやってきます。つりクラブなので、もちろん釣りも教えますが、我々が子供たちに本当に伝えたいことは、ふるさとのこの素晴らしい自然環境は何物にも代えがたいもので、そこに生息するすべての生き物は、ここに暮らす人々の大切な仲間であることと、その自然を未来につなげてゆくことを大切と考える人になってほしいということです。そして、やがてこの子たちが石徹白地区を担ってゆく大人になるのです。

在来イワナ個体群の保護
日本のイワナは、分類的には1種類とされていますが、各水系ごとに独自の進化をしてきた個体群が生息し、その外見的特徴にもずいぶん違いがあることが確認されています。ところが、長年にわたる放流主体の管理により養殖魚との交雑が進み、在来の個体群が絶えてしまった生息地が多くなっています。さいわい石徹白川水系には、過去に放流されたことのない支流が何本かあり、その奥にひっそりと在来個体群が生息しています。それは一見して血が濃いとわかる特徴のあるイワナたちで、鑑定の結果、未発見のDNA型群と証明されています。このような生態系では、違う遺伝子をもつイワナの密放流が深刻な打撃となります。釣り人が良かれと思い下流で釣った魚を移植放流するケースもあり、そのような行為がたった一回されるだけでも、遺伝的な純潔は簡単に絶えてしまいます。このようなイワナたちを守る活動も重要と考えます。

文化の伝承 石徹白てんから研究
石徹白には昔から「てんから」と呼ばれる伝統的な釣り方が伝わっています。山野に自生する竹から3m弱の一本竿を作り、馬の尾の毛を6本5本4本とテーパーに縒ったものを、竿と同じくらいの長さのラインにします。その先に90㎝くらいのハリスを結び、先端に毛ばりを一本だけ付けるという、いたってシンプルな道具を使う釣りです。かつて、石徹白のような山村では自給自足が原則だったため、村の男は皆「てんから」で魚を釣ったのでしょう。仕事を終えた夕方、ちょっと川に行き家族の食べる分を釣ってくるのにもってこいの釣り方だったはずです。このような昔ながらの「てんから」を伝えられる人は今では地区に3人しかいません。このままではこの古いスタイルの「てんから」は確実に絶えてしまうことを危惧し、「石徹白てんから」を伝承してゆく活動もはじめました。もちろん昔ながらのスタイルにこだわり道具から再現しています。また子供たちの「つりクラブ」でも、地区に伝わる伝統文化として紹介しています。

命をつなぐ川づくり
我々が石徹白で行っている活動の全てに共通しているテーマは「命をつなぐ」ということです。生き物たちが命をつないでゆける自然環境を未来に引き継いでゆくことが、最も大切なことだと考え行動しています。人が自然を管理すると、どうしても人間本位の偏った環境になりがちです。人間にとって利用価値のある生き物だけがいくら繁栄してもダメなのです。本当の自然環境保全とは、人間が何もしないことなのかもしれませんが、個人で今すぐ実践できることとして、私たち一人一人が自然に対し、できる限りダメージを与えない関わり方を意識することではないでしょうか。私たちはこれからも石徹白から「命をつなぐ川づくり」という言葉を発信してゆき、日本中の河川管理にこの考え方が根付くことを願っています。
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# by itoshiro-sp | 2015-05-23 13:59 | イトシロ  

マイ バイブル

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瀬戸際の渓魚たち
セトギワノサカナタチと読みます。
著者は佐藤成史サトウセイジ氏、つり人社刊フライフィッシャー誌に37回(No13~49)にわたって連載されたものをまとめられたスゴイ本です。

以下に、まえがきより抜粋してみました。

「日本全国には、貴重な鮭鱒類の小集団がたくさん見られる。そんな彼らが置かれている境遇は一様に厳しく、いつ果てるともしれぬ状態にある。そんな彼らこそが本書の主人公、すなわち瀬戸際の渓魚である。生物学的に、地理的に、また環境的に瀬戸際に瀕している彼らは、常に絶滅と背中合わせの状態なのだ。そしてその背景には必ず人間の影が見え隠れする。・・・中略・・・・そこには乱開発とか環境破壊といった社会的要因だけでなく、ただいたずらに大量の魚を捕らえることで歓喜する、愚かな釣り人たちの存在を消し去ることができない。社会的モラルに欠けた釣り人たちが環境に与える悪影響は驚くほど大きいのである。・・・中略・・・・・もしも貴方が自然を愛する人で、そして釣りが好きで、魚が好きならば、こんな瀬戸際の世界から目を逸すべきではないと思う。現実を直視して、一人の釣り人としてではなく、一人の社会人として、そんな瀬戸際の世界を見つめてほしいと熱望する。この書は、滅びゆく渓魚たちへの鎮魂歌とするために書かれたものではないのである。」
と結ばれています。

私は、この記事が掲載されているフライフィッシャー誌はすべて購読していますが、こうして単行本となった本書を見ると、あらためてこの著者のレポート力の確かさと写真(当時はフィルムだった)の美しさ、そしてこの取材のほとんどを、たった一人でやり遂げた行動力(情熱、熱狂?)に脱帽するばかりです。著者にとって30才代のライフワークだったそうだが、この本を読んだ多くの釣り人に初めて釣りにおける環境的モラルという意識を目覚めさせたであろうという、功績には計り知れないものがあると思うのです。
もちろん私にとっても、この本はバイブルであり、その後、石徹白川でのキャッチ&リリース活動につながっていきます。もしも私がこの本と出会ってなかったとしたら、石徹白の峠川C&R区間はなかったかもしれません。

佐藤成史という人は、他の多くの釣り名人たちとはまったく異なった視点を持ったフライフィッシャーマンといえます。私にとっても釣りに関するかぎり、たった一人の師と思っています。(彼は私より2才年下ですけどね)
貴方が自然を愛する釣り人ならば、テンカラやルアーの人にもぜひ読んでもらいたいものです。釣り場の環境意識が変わるはずです。(今でもアマゾンなどで古本は手に入るらしい)

そして、このレポートにおけるすべての魚を著者自身がフライで釣って撮影していることに驚愕することでしょう。

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当時この写真に驚いたものです。(リバーサルフィルム写真ですよ)

B.B.キングが亡くなりましたね。
https://www.youtube.com/watch?v=ApMd-qOFyDE
彼が亡くなっても、音源は永遠ですからね。
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# by itoshiro-sp | 2015-05-14 20:20 | 魚のはなし  

何事でもこだわりが重要です。(てんからのおすすめ)

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2年前の初夏、源流のイトシロイワナHap-new36です。美しいと思いませんか?背中の盛り上がりも見事でしょ。完璧な姿態ですね。
また逢いに行けるかな~。そのためには早く体調を戻さないとね。


前にも書いたことがありますが、
「てんから」からフライフィシングに転向した時ずいぶん苦労しました。けっきょく流れの攻略かたが全く逆なんですよね。フライフィシングは短い竿でラインを繰り出し毛鉤を投射しますので、投射後はラインがべったりと水面に浮かぶわけです。そうなるとラインが流れにもまれ毛鉤が引っ張られてしまいうまく流せません。ここが難しいんです。
このために「そもそも日本の渓流ではフライフィシングは無理なんだ」とよく言われていますが、そんなことはなくて、フライフィッシングでもうまく流せるようになれば、かえって「てんから」より場所を選びません。広いところで遠くから釣ることはもちろんですし、木のかぶさった藪沢まで問題なく釣れます。私も「てんから」をやっていた時の方が開けた川を選んでいましたし、その日入る場所に応じてラインの長さを変えたりしていました。
話を戻します。「てんから」は糸をほとんど水につけないことで毛鉤までの流れをかわす釣りです。この部分がフライフィシングと全く逆なんですが、遠くまで釣ることをあきらめてしまったのか、もしくはその必要がなかったのでしょう。
「てんから」の場合、流れをかわせる距離は竿の長さで決まってきます。と言っても、扱える竿の長さにも限界があるので、3m~5mくらいが主流ですから実際の釣りにおいてアプローチの距離はフライフィシングには及びません。届く距離まで近づくしかありません
日本でも昔の人が、この部分をあきらめなかったとしたら、もしくは遠くを釣ることを必要としたならば、もっとシステマチック(リール竿)に進化して、けっきょくはフライフィシングに近いものになってたかもしれませんね。

そうならなかったおかげで「てんから」には簡素にして潔い日本的な美が伝わりました。
フライフィッシングを好むイヴォン シュイナード氏(パタゴニア総帥)が「てんから」に魅せられるのも「少し油っこいフライフィッシングもいいけどたまにはあっさりしたものが・・・?」なん~て、ところかもしれないですね。

 両方の釣りをやってきた私は「てんから」は「のべ竿のシンプルフライフィッシング」でありフライフィッシングは「リール竿のてんから」というほとんど同じものだと考えてます。
この釣りにはどちらにも同じように趣味性の高い奥深さとなんとなく高貴さがあります。
ただし高貴さと言うためには、釣り人自信がこだわりを持たなければならない大事なことがあります。それは「てんから」をするときは「てんから」の伝統的な作法に従いフライフィッシングの時はフライフィッシングの伝統的な作法に従うというこだわりです。作法といっても「てんから」の時は「てんから毛鉤」しか使わないこと、フライフィッシングの時はナチュラルドリフトの釣りを基本としなければならないってことだけです。

 かの開高健氏が、「釣りというものは所詮、魚を鉤で引っかけて捕まえることなんだけど、それをドン百*的にやるか貴族的にやるかということがとても重要なんだ」と言ってます。
私ももちろん貴族的にやりたいと思っています。 
 それともあなたは、「どちらが良く釣れるか?」なんて「ドン百*的」な価値感を求めるのですか。
さ~、皆さん、どちらの釣りもやってみてください。
とくにフライフィッシングの方「てんから入門」をおすすめします。日本の伝統文化なんですからやっといたほうがいいですよ。
その逆の「てんから」しかやってない方も、ぜひフライフィッシングに挑戦してみてください。
やってみないと分からないことがたくさんありますよ。

以上、長文でごめんなさい。

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これが日本の伝統毛鉤です。「キワダシングロ」「カッケ~」でしょ。
今がんばって巻いてます。石徹白フィッシャーズホリデーで販売しますよ。



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フライではハックルとよばれるんですが「てんから」では「みの毛」と言いまして、雄鶏のエリの毛です。
これは昔から珍重される「みの毛」材、キワダシングロ、です。これを巻き付けると上の毛鉤のようになります。
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# by itoshiro-sp | 2015-04-25 17:25 | てんから  

「Sinple Fly Fishing」って本?

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アメリカの娘夫婦の所に行ってきた姉さんがお土産に「本」を買ってきてくれました
なんでも、NYのpatagonia shopで偶然見つけたそうだ。なんとなく「弟が好きそうな本だな」と思ったそうだが、まさに神対応である。
パタゴニアの総帥であるイヴォン・シュイナード氏がTENKARAのことを取り上げている。
$24,95もする立派な本です。
もしかしてアメリカでTENKARAブーム?ほんとに~?って感じですが、少なくともイヴォンさん的には本気みたいです。こうなったら石徹白の伝承てんからのこともイヴォンさんに知ってもらわなくっちゃ。
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中身はこんな感じです。
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写真がスゴイです。(字は読めないから写真ばっか見てます)
でもこの写真、石徹白川なら撮れるかもしれないですね。誰か挑戦してみてください。
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# by itoshiro-sp | 2015-04-24 07:18 | てんから  

てんから竿、作ってはいるものの・・・?

最近の「てんから」やる人に竹竿なんか使う人いるんでしょうかね?
グラファイトロッドしか使ったことのない人には無理かもしれませんね。
重くてびっくりするでしょうね。
重いし、グラファイトとは全く違うリズムにきっと戸惑うことでしょう。
とくに最近、主流のレベルラインになれた人には勝手が違うと思います。というかカーボンロッドならハリス1.5号で魚がぶっ飛んでくるような合わせでも折れたりしないけど、竹竿でそんな釣り方したらダメですよ。でもゆっくり合わせを信条としている私的には問題なく使えていますし、釣りにおいてはチャカチャカしたテンポよりゆったりしたリズムが好きだし・・・?
その昔の「てんから」のパイオニアたちはみんな竹竿だったしターゲットである魚たちは今と何も変わりはない訳ですから、使えるはずなんです。
余談ですが、イトシロの友人、マサユキさんが子供の頃の思い出を話してくれたんですが、彼のおじいさんはときどき石徹白から荘川の尾上郷まで山を越えて泊まりがけでイワナ釣りに行ってたそうです。3日くらいかけてたくさんイワナを持って帰ってきたそうですが、おじいさんの竿は竹で作った10尺のてんから竿で、自作した「一本竿」なので長いまま険しい山道を歩いて行ったそうです。竿も1本だけしか持って行かなかったでしょうから、折れないようにさぞ慎重に使ったんでしょうね。今から50年以上前のスローな時代の話ですが昔の暮らしが目に浮かんできませんか。今の時代、昔のように竹竿を日常的に使うことは、それなりにやせ我慢が必要になるのかもしれませんが、「日本の伝統的な釣りをやってるんだ」と胸を張るために、あえて竹竿を使って見ませんか

そんな昔ながらの「石徹白てんから」に興味のある方は「第15回石徹白フィッシャーズホリデー」(6月6日7日)でお会いましょう。


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こんな本を読んで「てんから釣り」に挑戦したものです。
中でも「かげろうの釣り」加藤須賀雄著は今読んでも勉強になります。もう35年も昔です。

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こんな本を読み山釣りにどっぷりのめり込んで行きました。山本素石氏の随筆は素敵ですよ。

その後、フライフィッシングに転向したんですが、あくまでも「てんから」が私の毛針釣りの原点であり日本の伝統文化として守って行きたいと思っているんです。
ちなみに、欧米からきたフライフィッシングの方が竹竿の愛用者が多いのはなぜなんでしょうね?
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# by itoshiro-sp | 2015-04-18 17:03 | てんから  

鈴竹竿 石徹白てんから

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「石徹白てんから竿」販売用がまずは2本完成しました。
総鈴竹でどちらも十尺弱の3本継ぎです。グリップは僕の定番であるホテイ竹、スリーブ部は竹に近い色の糸で巻き、とても地味な仕上げです。むかし石徹白の人が使っていた竹の、のべ竿を意識しています。
竿袋だけでもいいかなと思いましたが、ハードケースも作ってしまいました。
ケースを作りだしたらやたら気合いが入っちゃっいまして、良い布が見つからないので、11号帆布をタマネギの皮で染めてみました。なかなか良い色に染まりました。ついでに「石徹白てんから」のロゴも入りました。いい感じにはなったんですが・・・?道具だから価格をお安くしたいのについやり過ぎちゃいます。でもやっぱりハードケースがあったほうが安心ですからね。長く使ってもらうためにも。

5月に石徹白川へイギリスからお客さんが来るんです。僕は初めて会う方々ですが、去年の石徹白フィッシャーズホリデーに来てくれたそうで、石徹白を気に入ってくれて、なんでも今回は石徹白川の「てんから」を取材したいそうです。そんなわけで、ちょっと張り切ってます。

石徹白フィッシャーズホリデーまでには、まだまだ何本か作りますよ。馬の尾の毛を縒って昔ながらの「てんから馬糸(バス)」も作って置かなければならないし、毛針も巻きたい、あ~、まだまだやることがいっぱいです。
なぜか画像に写っているパイプはオリジナルケースの本体です。竿が蒸れないように穴を開けてあります。竹竿に水分は良くないですからね。




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# by itoshiro-sp | 2015-04-14 15:04 | ロッド  

紋入りのすず竹

美しい紋が入った3ピース210センチ「いとしろ」と名付けました。すず竹の紋入りって滅多にないんです。たまにあってもきたなくシミになったような紋がほとんどです。だからこの竿のような美しい紋は自然が作った奇跡なんです。ただ美しすぎて使いづらい。美しすぎるとけっきょく飾り物になってしまうんです。道具が道具として使われないということはやっぱりよくない気がする。私は道具屋なんでどんなにきれいな竹でもよい竿に出来なければ作りませんからこの竿も調子はよいですよ。竿に使う竹はすべて自分で取りに行ってますがこの紋の入るメカニズムが未だによく分かりません。
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# by itoshiro-sp | 2015-04-04 00:08 | ロッド