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「白いイワナ」の渓

幻の白いイワナの話です。
じつは、イワナのことで心残りなことがあります。
イトシロイワナの探索に精を出してた頃、石徹白組合長から白いイワナの棲む谷の話を聞きました。その谷はどういうわけなのか、ほとんど赤みがなく大きな白点だけが目立つ「白いイワナ」ばかりだったというのです。
それまでの調べでわかってきた石徹白水系の在来イワナは、白点が少なく小さいことと赤みや黄色みが強いのが特徴だとすると、まったく逆のタイプのイワナとなります。その谷は入り口にエンテイがあり下流から遡上できないし、もちろん移植放流の記録もない、話は組合長が若い頃だから50年ほど前だとすると謎は深まるばかりです。

2011年の夏、確かめたくて大津君とふたりで行ってみました。
入り口のエンテイを越えてからも滝が連続するV字の谷、規模は小さいものなかなか豪快な谷でした。ところがいかにもイワナがいそうな渓相なのに遡れど遡れどまったくイワナの反応がない。
いくつも滝を越えていくと古そうな石組みのエンテイが現れた。
それを越えたら谷はすこし穏やかになったものの、その後も結局イワナの反応は無いままゴリラのようなおもしろい形をした大岩を画像に納めたところで引き返すことにしました。
そんな狐につままれたような探索でした。
エンテイがあったので工事用の道の痕跡でもあるかもしれないと思い、探しましたが何も痕跡を見つけられなかったので、左岸の尾根に出て帰ったのですが、これが大変な薮こぎを強いられ、そのうえ大きなケモノともニアミスするは、大変な探索となったのでした。
後で聞いたら,そのエンテイは石徹白でも最初期頃に作られたエンテイであり、その当時は石職人たちが何日も現場に寝泊まりをして、材料もすべて現地の石を加工して組み上げたというのです。だから現代のようにエンテイがあれば工事用の道があるというわけはなかったのです。
ただそのエンテイは、現在もまったく破損もなく堂々と存在していました。
そのことを知って、あらためてエンテイを気にしてみると、石徹白には本流の第一エンテイをはじめ他にもいくつか、かなり古いエンテイが見受けられますが、どれもみなちゃんと残っている訳だから技術的にも高度なものなんでしょうね。やっぱ昔の人々の人間力というものはスゴかったんだなと思うわけです。

そんなわけで、白いイワナに会えなかったことだけが「心残り」なんです。
白いイワナは絶えてしまったのだろうか?

僕は、もうあんなとこまで行けそうにないけど、
誰かがもう一度行ってくれると嬉しいんだけどな・・・・。
ゴリラ岩のもうちょっと上まで行ってれば見つけられたような気がしてきちゃって・・・・・。
「白いイワナ」の渓_a0108792_933139.jpg

大津君は渓のぼりに強い男で、とても心強い相棒だったんですが、
彼も病気になっちゃって、もうハードなことは無理なんです。

素晴らしい渓相だったんですけど、まったく反応がなかったですね?
「白いイワナ」の渓_a0108792_933395.jpg

滝をいくつも越えた先に現れた石組みの古いエンテイ
エンテイ下の絶好のポイントでもイワナの反応はなし、ここで引導を渡されました。
「白いイワナ」の渓_a0108792_934361.jpg

エンテイの上流にあったゴリラのような岩
これより上流に行くべきだったかな~?
あの時、二人とももうフラフラだったからな~。
「白いイワナ」の渓_a0108792_9343325.jpg

白いイワナってこんなタイプだったんでしょうかね?(参考写真)
イトシロイワナとはまったく違うタイプのように見えても、
遺伝子的にはHap-new36かもしれないので調べてみたいんです。
「白いイワナ」の渓_a0108792_20321376.jpg

白いイワナって、ひょっとしたらこんな無班イワナかもしれない。(参考写真)

by itoshiro-sp | 2015-07-31 09:55 | 魚のはなし  

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