2018年 10月 29日 ( 1 )

 

残日備忘録その8 ニジマス

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   これはイメージ画像です。
   峠川のニジマスは稚魚で逃げたので現在も15センチ前後が多いはずです。
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 2年前の早春に前川上流ネーゴ谷の養殖場からニジマスの稚魚が逃げ出した。一池すべてというから約2万匹だろうとも言われている。養殖場の管理ミスだ、ニジマスたちは前川を下り峠川C&R区間下流部に入ってきた。これが今C&R区間のけっこうな問題になっている。漁協にとってもありがたい魚種ではないので、県の専門家にも意見を伺い関係者が出した結論は「ニジマスの定着は可能性が低いことから自然に減少してゆくであろう」ということで、しばらく様子を見守って行くことになった。
あれから2シーズンすぎたが今もC&R区間内にはまだまだ生息している。というのもニジマスは毛バリへの反応が良い魚種なので最初に顔を出すため、よけいに目立つようだ。ただ今のところは逃げ出した世代魚のみで再生産した次世代魚はいないようなので、見守りの方針は変わっていないが、ただ一部のニジマス嫌いの人からの苦情があるのも現実なので、今後何らかの対策も必要かと考え、まずは県の水産試験場が専門的な生息状況調査をしてくれることになっている。

私の個人的な見解は、たしかにニジマスは外来種であるが、在来種への悪影響はさほどないこと、本州では定着例が少ないこと、食用魚種として養殖が盛んであること、などを考えると駆除とか排除の必要はあまり感じない。今回の流出は今のところC&R 区間の下流部に留まっており、なかなか減らないのはC&Rというルールがあるため一般釣り場よりは時間がかかっているのだろうと考えている。いずれ本流の一般釣り場へ下れば釣られてしまうだろう。
また地元の人たちはニジマスに対しもっと親近感を持っている。
ある若い衆いわく「しゃーなもん、石徹白じゃあ昔から個人的にニジマスを飼っちょるでな~、川にもおってもな~んもやろ!!」
「目の敵にしちゃや~れかわいいな~」という。
「そりゃ~や~れかわいいな~」同感である。(石徹白ではかわいそうをかわいいともいう)
いくらニジマスが嫌いでも、ただ泳いでいるだけなんだからもうちょっと優しくなれないかな。
駆除だ排除はけっきょく殺してしまえということなら、あまりに勝手すぎないかな。


 じつは石徹白川のニジマス放流には大変古い歴史がある。
私が20代(1970年代)のころ石徹白川の本流ではときどきニジマスが釣れた。ごくまれに釣れるだけだったので生息密度は低かったと思うが、そのニジマスは見事に完ぺきな野生魚体で大型が多かったのでそんなのが掛かると川の中を引きずり回され大変だった。
後に知ったことだが、あのニジマスは須甲末太郎氏(過去記事2015/6/30ヤマメ(マスバイ)&アマゴのこと)という人が1945年前後に放流したニジマスの末裔だったようだ。須甲氏は本流の大進橋の右岸で渓魚の飼育池を所有し、魚が本当に好きだったようだ、アマゴの放流はもちろんニジマスも扱いあちこちに自主放流されていたらしい。その結果ホー川の上流部にだけ定着したようでけっこう長期間にわたり自然繁殖していたという。猿橋さんという古老から「ホー川には昔けもののようなニジマスが釣れよおったでな」と聞いたことがある。その一部が下流に流れ下ることで、ちょくちょく本流でも釣れていたということのようだ。
そのホー川は私たちが数年前に源流まで調査したかぎり、確認できなかったので現在はもう絶えたと思われる。
 この須甲氏は昭和の初めに下流のダムのせいでヤマメが絶えたことを憂いアマゴの放流を主導された方でもある。じつは、そのアマゴの末裔が現在も脈々と自然繁殖していて、今のところイワナ域より上流でひそかに再生産が持続している場所が3か所確認できている、そこには養殖アマゴの放流は一度もされていない、つまりこれらのアマゴたちは長良川の天然アマゴの末裔であり、ある意味でとても貴重な遺伝子を引き継ぐアマゴたちである。人為的な放流の定着例としても貴重だと思われる。

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       小さな谷なので小型ばかりだがじつに美しいアマゴたちである。

                     その9につづく・・・・。



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by itoshiro-sp | 2018-10-29 07:09 | 石徹白川C&R残日備忘録