イトシロイワナの話もしておかなければと思って。

始めにことわっておきますが、ここで申し述べてることは、すべて、ただのイワナ好き(素人)の戯れ言であります。
a0108792_1736163.jpg

a0108792_17363880.jpg

Fly Rodders2015夏号より
前回アマゴやヤマメ(マスバイ)の話をしたのでイトシロイワナの話もしなければなりません。
現在発売中のFly Roddersフライロッダーズ夏号は、全編イワナ特集です。その中にフライフィッシャーマンのためのイワナ学という記事があったので紹介します。
この記事は栃木県にある独立行政法人、水産総合研究所センター増養殖研究所で研究しておられる山本祥一郎博士への取材で構成されています。この山本祥一郎氏という方は日本のイワナのついて各河川ごとのミトコンドリアDNAタイプを解析し研究されていてイトシロイワナもこの方の分析で、Hap-new36という型に分類していただきました。そしてこのHap-new36が石徹白川固有の在来個体群だろうという返答をいただいております。
記事によると現在までに64ものハプロタイプ(Hap)が分類されているようでHap-new36が36番目?と考えるとその後もどんどん新しい型が増えているようです。
これらの遺伝子解析によってイワナの分類は複雑になりすぎて、もはやわれわれ素人が立ち入れる分野では無いようです。
そういう私も、昔からイワナの生態や分布に興味があって、とくに、木曽川流域に生まれ育ったこともあり素人ながらヤマトイワナの探索のまねごとに精を出したものです。
その後にご縁ができた山本氏に木曽川(阿寺川)のイワナの検体(アブラビレ)を送らせていただいたことがありました。その結果、味噌川産と阿寺川産のDNAの一致が証明され木曽イワナの型=Hap-28型と同定されたと報告を受けています。
山本氏のDNAネットワーク図のよれば日本のイワナのDNAタイプはHap-3型がもっとも多く、この型からタイプが離れるほど隔離の歴史が古いと言われており、木曽川産のHap-28と、紀伊半島熊野川産のHap-29はとくに大きく離れた古い個体群だそうですが、ところがどういうことなのかわかりませんが、イトシロイワナのHap-new36はこのHap-28.29に近い位置になり、やはりかなり古いタイプの個体群らしいのです。
我々釣り人にわかりやすい表現をすると木曽川がヤマトイワナで熊野川がキリクチと呼ばれているタイプです。ただし我々は生息水系と外見的な特徴でヤマトイワナと分類してきたものも遺伝子型的には同一ではなく見た目は似たようなヤマトイワナ的でも生息水系によってそれぞれが異なるといいます。天竜川ヤマトイワナ系のHap-22はまだしも富士川産ヤマトイワナ系のHap-3はどう説明したらいいのでしょう?Hap-3と言ったら日本中のイワナに一番多い基本となっている型です。

つまり白山水系のイトシロイワナの遺伝子型がなんで木曽イワナやキリクチに近いの?・・・混乱?
もうこうなるとさっぱり訳がわからなくなります。

ちなみにHapに続く数字は型として解析された時間的順番で付けられている番号です。
a0108792_16244381.jpg

イワナ1(Hap-new36)
a0108792_16234615.jpg

イワナ2(Hap-new36)
a0108792_1624944.jpg

イワナ3(Hap-new36)
a0108792_11442510.jpg

イワナ4(Hap-new36)
釣り人はイワナの外見的な特徴だけで安易に区別してはならい。

遺伝子型から在来個体群と証明されるには、その水系において過去に他所のイワナが放流されたことが無い、もしくは滝やエンテイなどで隔離され交雑が起こってないと考えられる生息群から20匹以上のヒレを解析して、すべての型が一致しなければならないのです。
実はHap-new36と証明されたイワナたちの外見上の見た目は様々でした。最初はイトシロの源流にヤマトイワナのようなに背中に白点の無いイワナが生息しているという情報から始めた調査だったのですが、始めてみたらたしかに白点のまったくないようなタイプもいましたが、白点が背中全体にふつうにあるものまで様々なタイプが混成していました。したがって遺伝子型の一致はないだろうと思っていたところ、どういうわけかすべてが一致という結果になったのです。それ以来、個人的にはイワナの外見的特徴はあまり関係ないと思うようになりました。かって私が木曽川水系で探釣していて時も、ここと見込んだ谷でも背中にまったく白点のないイワナばかりの場合は少なくて、数匹釣ると白点のあるタイプ混じること多くて、がっかりし「ここは交雑水系」と決めつけていたものですが、あれも遺伝子解析すればすべて一致したのかもしれません。
これはネット環境の罪でもあるんですが素人である釣り人が、にわか魚類学者気取りでヤマトイワナ、ニッコウイワナのことを評論する昨今です。ひどいのになると腹部が赤いだけでヤマトイワナなどと書いてます。やめてもらいたいものですね。
今後、遺伝子解析が進むことで、いろいろわかってくるでしょうから、それまではしばらくの間、外見だけでニッコウイワナだヤマトイワナだと言うことは封印した方がいいかもしれませんね。

参考資料、コピペで検索してみてください。

http://www.maff.go.jp/j/budget/yosan_kansi/sikkou/tokutei_keihi/seika_h22/suisan_ippan/pdf/60100161_01.pdf#search='%E5%B1%B1%E6%9C%AC%E8%A9%B3%E4%B8%80%E9%83%8E+%E3%82%A4%E3%83%AF%E3%83%8A'

a0108792_16251937.jpg

イワナ5(Hap-new36)
a0108792_16261886.jpg

イワナ6(Hap-new36)
a0108792_162736.jpg

イワナ7(Hap-new36)
a0108792_1110610.jpg

イワナの調査には、このような許可証を発行してもらいます。

この投稿で使用した画像1から画像7までのすべてがHap-new36型のイワナです。
イワナは見た目だけでやすやすと判断できないことをお伝えしておきます。
[PR]

# by itoshiro-sp | 2015-07-02 16:36 | 魚のはなし  

ヤマメ(マスバイ)&アマゴのこと

ヤマメ(マスバイ)復活の話の前にヤマメとアマゴのことをお話しておかなければなりません。
ヤマメとアマゴは非常に近い近縁の種類でよく似ていますが、アマゴには朱色か赤の点模様があることでヤマメとははっきりと区別できます。
ヤマメはサクラマスの河川残留型でアマゴは海に下ればサツキマスとなる。日本における分布図を簡単に言ってしまうとアマゴが東海以西の太平洋流入水系となりヤマメはその他の水系、またヤマメはシベリアのカムチャツカあたりまで広く分布するがアマゴは西日本の太平洋側だけという世界的にも希少な個体群である。一般的にはアマゴの降海性はヤマメより低いといわれており河川上流部での定着性もヤマメより強い気がします。
日本において、この2種は古来より水系別ではっきりとした棲み分けをしてきたのですが、近年漁協による確信的な移植放流(県の指導方針)などが行われてきた結果、本来の分布域が乱れてしまいました。最近になってようやく水産庁がこのことを危惧し古来からの分布に戻す指導がされはじめました。しかし、アマゴが定着し自然再生産している水域では放流をアマゴからヤマメに切り替えれば済むというように、そう簡単にはいかないはずです。根気のいる取り組みとなるでしょう。

a0108792_2041074.jpg

ヤマメ(石徹白ではマスバイ)赤い点は何処にもありません。この個体は体側にピンクの帯はありませんが、側線に沿ってきれいなピンクの帯がある個体もいます。
a0108792_2075586.jpg

アマゴ1
a0108792_2092588.jpg

アマゴ2
a0108792_2095713.jpg

アマゴ3
a0108792_20103248.jpg

アマゴ4
上の四画像、すべてアマゴです。赤い点は薄かったり、濃かったり、少なかったり、多かったりと様々ですが、この赤い点がヤマメとの決定的な違いです。アマゴ4もよく見ると小さな赤い点があるのでヤマメではありません。
またアマゴとヤマメは近縁なので簡単に交雑します。交雑魚には赤い点が出現しやすい傾向があり世代を繰り返してもアマゴ的な特徴がいつまでも消えないといわれます。


石徹白川も本来はヤマメの川であったのですが、約90年前に下流にできたダムのせいでヤマメが減ってしまったために、アマゴ(長良川産)を移植したという古い歴史があります。
岐阜県におきましては、分水嶺を境に太平洋に流れる川にはアマゴ、日本海に流れる川はヤマメという分布のハズですが、近年の漁協管理が始まるずっと昔から人の手による小規模な移植は行われたことで、かなり古くから少なからず分布の乱れがあったようです。
また分布境の隣接地帯ではヤマメとアマゴは一様にアマゴと呼ばれていた所も多く、今となっては移植の実態はそのほとんどが検証不能となっているなかで、石徹白川の移植については、はっきりとしております。九頭竜川漁業会(現奥越漁協)の事業として1929年に始まり1941年にかけて数回に渡り行われています。
この時代はまだアマゴの養殖は始まっていませんでしたので長良川の漁師に依頼し活魚として調達したもので、すべて長良川の天然魚でした。
この事業は九頭竜川漁業会の管理地域全域に対して行われた事業であったのですが、発起人でありリーダーが石徹白の須甲末太郎氏(当時組合長)であったことで、最初の移植は石徹白川の前川(峠川)にされたようです。
移植後3年ほどで前川全域に定着がみられたといいます。
ここで、先人の名誉のために言っておかねばならないことは、アマゴ放流の出自は下流部にできたダムのせいでサクラマスの遡上がなくなり、それにともない今まで川にいたヤマメが激減したことへの対策事業だったということです。サクラマスの遡上が毎年継続していた水系のヤマメであったことを考えれば、たぶんアマゴを放流しなくてもヤマメは絶えたと思われます。
そんな事情を考慮すれば「正しい棲み分けを壊したマズイ放流だった」などと安易に言うべきではありません。
個人的な見解ですが、先人たちの努力のことを思うと、今さらヤマメに戻す必要はあるの?今さら遅いんじゃないの?という気持ちも、じつは少しあります。

なによりも、この時代の生活環境や交通事情などを想像すればどれほど大変な事業であったか計り知れませんし、須甲末太郎という人の行動力の基となったものは何だったのか?情熱?いや、もはや熱狂としか言いようがない気がします。
残念ながら、平成元年に享年85才でお亡くなりになっていますが、この人物には、ぜひお話しを聞きたかったと思うばかりです。
a0108792_1550326.jpg


なお、ヤマメをマスバイと呼んでいたのは九頭竜水域でも石徹白だけだったようです。石徹白の先人たちはヤマメがサクラマスの子であることをちゃんと認識していたのでしょう。
(福井県では他の多くの地域でヤマメのこともアマゴと呼んでいたようです)

別件としてもう一つ、これはイワナの話なんですが
須甲末太郎氏は朝日添川 鳩塩(ハツシオと読むらしい)の滝上流部の魚空白地帯にも、大正の始め頃に石徹白本流や支流で捕獲したイワナの稚魚を放流したことでイワナが定着したと言われています。そうなると、以前に我我が遺伝子解析を依頼し原種と証明された在来イワナ(Hap-new36)は石徹白本流や支流のイワナの末裔ということになるのです。
須甲氏は魚の棲まない空白地帯にもサンショウウオは生息しているのを知りイワナを放してみようと考えたそうです。
朝日添川のイワナと本流上流部のイワナは同じ遺伝子の原種と証明されているので、大正の始め頃までは石徹白のイワナはすべてHap-new36型のだったという想定もできるはずです。
そして現在2015年、約100年たった今、石徹白川ではそのほとんどの水域において養殖イワナとの遺伝子的交雑でHap-new36の血脈は絶えてしまったわけです。
我我釣り人は、少しでもこれを残念と思うなら、すべては釣りのために増殖という名のもとで行われたことは知らなければいけないでしょう。
a0108792_11219100.jpg

Hap-new36イトシロイワナ(大正5年からの末裔なのか?)
このイワナはサンショウウオを吐き出しました。

家にいてもこのような考察をし、妄想できることがじつに楽しいこの頃です。
今では、実際の釣りより楽しいかもしれません。


アマゴ移植の話は平凡社刊「峠を越えた魚」鈴野藤夫著という本に詳しく紹介されています。興味深い話が満載です。アマゾンなどでまだ手に入ります。一読をお勧めする一冊です。
[PR]

# by itoshiro-sp | 2015-06-30 20:14 | 魚のはなし  

今日と明日NHKで放映

石徹白フィッシャーズホリデーで、行われた「ワイルドトラウトワークショップ」が、NHKのローカルニュースで放映されるそうです。
本日は18時30分からの「ホットイブニングぎふ」で18時40分頃から、明日は朝7時45分から「おはよう東海」で放送です。
本日は岐阜だけかもしくは東海3県?で明日は東海北陸7県?と聞きました。
参加された方はぜひ見てください。
[PR]

# by itoshiro-sp | 2015-06-24 07:03  

九頭竜川純系ヤマメ(マスバイ)

a0108792_16502661.jpg

やっと画像が届きました。19日に本流で釣られたヤマメです。

現在、石徹白川本流ではヤマメが釣れてます。このヤマメは昨年11月に5000匹放流したヤマメF1です。このヤマメは九頭竜川に遡上してきたサクラマスから採卵した子達です。
先日の試し釣りでは最大28センチになっていたそうです。F1と言うことは第一世代ということであり満1才6ヶ月ということです。
石徹白川ではヤマメの放流において遺伝子レベルの純系にこだわっており、今回の放流魚も安田龍司さん達が九頭竜川で釣ったサクラマスを秋まで畜養養殖し採卵するという、大変なこだわりの基で生育されたサクラマスの子から選別したヤマメを、九頭竜川中部漁協さんのご好意でお裾分けしていただきました。

この事業は今年が1年目ですが、来年以降になると現在定着しているアマゴとの交雑が発生する可能性が高いので今年は非常に重要な年となります。いま、漁協としてもこのヤマメをどう殖やしていくか?を検討中ですが(アマゴの生息しない禁漁区にも放流してあるのでそちらがうまく育ってくれれば幸いですが)
100年ちかく前に途絶えてしまったヤマメを復活させるわけですから、復活にも長い年月がかかる事業になると思いますが、粘り強くやるしかありません。
すべてが石徹白組合長のポリシーである本物の環境を未来に残すための一環事業です。こうしてこつこつやることで石徹白川は、もっともっと素晴らしくなるはずです。
a0108792_16512228.jpg

ほとんど回復していますが尾びれの下側が少し丸いところから昨年11月に17センチくらいで放流された個体と考えられます。24センチくらいでしょうか栄養状態も良いようですね。

タイトルで表記したマスバイという言葉について、
大正時代に九頭竜川勝原にダムができるまでは石徹白までサクラマスが上っていました。そのマスから生まれた子たちのうち川に残留した魚(ヤマメ)を石徹白ではマスバイとよんでいたそうです。今の組合長(70才)が子供の頃には、石徹白川はもう朱点のあるアマゴばかりだったそうですが、たまに朱点のないアマゴ?が釣れると大人達はマスバイとよんで区別したと言います。
今回のこのヤマメたちも九頭竜のサクラマスの直系ですから個人的にはマスバイとよびたいと思っています。
さ~次は、このマスバイが、ちゃんと定着しアマゴと入れ替われるかどうか・・・?なんですが、
これまで定着してきたアマゴのことを考えると心境は複雑です。
今から100年も前の話ですが、それまでたくさんいたマスバイが少なくなってしまいました。それを深刻に考えた石徹白の人達はふだん行き来のあった郡上の長良川からアマゴを移植しました。大正の終わりから昭和のはじめにかけて数回にわたる移植で見事に定着したと云います。当時はヤマメとアマゴの分布域の違いや生物多様性保全などということも一般の人達は知るよしもない時代です。誰も責められない話ですが、はっきりしていることは、アマゴたちに罪はないということだけです。
実は、石徹白川には、最初に移植した当時からの遺伝子を引き継いでいると考えられるアマゴたちの生息地があるんです、個人的にはそこのアマゴだけは、そのままなんとか残って欲しいという思いもあり、ますます複雑です。

というわけで、少々ゆれておりますが、
釣り人の皆様がヤマメは出来るだけリリースしていただけることを切望しております。個人でも出来ることは今のところそれだけですから。


a0108792_7371125.jpg

釣り人がやれることと言えば他にもこんなこともやってます。
産卵場造成は安田さんの指導のもとで活動していただいております。
ほんとに、頼りっぱなしで申し訳ありません。
[PR]

# by itoshiro-sp | 2015-06-14 07:40 | 魚のはなし  

2015石徹白フィッシャーズホリデー

石徹白フィッシャーズホリデー、無事終了しました。
私は2年ぶりということで、大勢の懐かしい人たちと再会でき楽しい2日間を過ごさせてもらいました。
ただし、張り切りすぎて少しバテました。今日から、予定通りまた病院通いがはじまりますのでイベントの詳しい報告は、ボチボチとさせていただきます。

a0108792_564442.jpg


子供達も大きくなっていました。

a0108792_511539.jpg


ワイルド.トラウト.ワークショップも大勢に参加いただきました。

峠川C&R区間内の中流部にある小川をイワナの産卵用に整備する事業を賛同者の皆さんに手伝ってもらいました。季節的にはまだ早いですが実際に2カ所の人口産卵場を作りました。
ここは今後も毎年整備していく予定です。魚たちができるだけ自然な形で命をつないでいくための手助けです。活動の基本は「できるだけ自然な形で・・・」なのでやり過ぎないことにも気をつけなければなりません。

http://cgi4.nhk.or.jp/eco-channel/jp/movie/play.cgi?did=D0013773386_00000
参考動画

a0108792_22491840.jpg

ワークショップの現場まで会場から1キロ、往復2キロ、病気以来最長に歩いたよ。
おかげで夜中に足がつって1回目覚めた以外は久しぶりに泥のように眠りました。

a0108792_2250289.jpg

教え子のマサヤが顔を出してくれました。ちゃんとキャスティングできてます。
この川はこの子達が守っていってくれるハズです。

a0108792_22195414.jpg

18年前からの仲間4人。
当時私が44才だったから彼らは30代だった。みんなけっこうシブいオッサンになりました。
みんなチョ~釣り好き小僧だったハズなのに、峠川で釣りをしてるとこあんまり見たことないな。「だって、けっして自分たちが釣りをするためにホネオッテきた訳じゃあないんだぜ。」カッケェ~でしょ!?
こう見えても中身は意外に「お花畑」じゃないんだぜ・・・#$%&?。

それにしても「長い間よくついて来てくれたものです。アリガトウです。」
[PR]

# by itoshiro-sp | 2015-06-10 05:13 | イトシロ  

馬の毛を縒って作るてんから糸

「石徹白てんから」では縒り糸をテーパーに仕立てたラインを使います。昔は馬のシッポの毛を使用していましたが入手が困難なため、今ではナイロン糸が使用されています。
私のラインはナイロン1.2号を5本縒り、4本縒り、3本縒りと段落としにします。最近、主流のレベルラインより重いですが自分好みのテーパーが自在に作れますし、テーパーラインのテンカラはゆったりとしたリズムの釣りになります。そして何よりも自分で自分好みのラインを作るという喜びがあります。作るといっても特別な道具はいりません。自分の親指と人差し指で縒るだけなんです。自分で作ったもので釣りをするって楽しいですよ。
a0108792_16225161.jpg

今回は馬の毛が手に入りましたので、昔ながらの馬糸(バス)を作ります。
白毛と黒毛がありますが、一般的に白毛の方が良いと言われてますが、あまり変わらない気がします。ま~色的な好みかな。
馬の毛はナイロンほど強くないので白でも黒でも強く縒ると切れます。慎重に縒っていかなければなりません。

馬毛ラインも何本か作ったので石徹白フィッシャーズホリデーで販売予定です。
a0108792_16254559.jpg

右手の親指を前に押し出すように3センチくらいづつ縒っていきます。
馬の毛は太さが不揃いなので縒りにくいですが、少しづつやって行けばだいじょうぶです。
a0108792_16293380.jpg

普段「おいで」って言っても来ないくせに、こっちが何か始めるとすぐ邪魔します。

竿、糸、毛鉤、すべて自分で作った物で出来る釣りってないですよね。昔の人と同じ道具が現代でも通用するというか、まったく問題なく使えるってすごいことだと思いませんか。
私はこの究極のシンプルさにこそフライフィッシングでは感じられないロマンを感じます。それに魚に対して間違いなくフェアーですよね。
ちなみに、私がテンカラ釣りをした場合レベルラインでやっても馬毛ラインでやっても同じ結果になるはずです。つまりどちらかのシステムの方が良く釣れるなんてことではなく、単純にヘタな人よりうまい人の方が良く釣るという問題です。つまり私は平凡ですからどちらでやっても平凡な結果となります。

ヘタより、うまい方が良く釣る話のついでにエピソードをひとつ、先日石徹白での作業後、若いイトシロチルドレン二人が釣りをしたそうです。始めようとしたら、一人の子がリールを忘れてきました。さてどうしようと思ったとき彼らが乗っていた軽トラ(私の軽トラ)のボックスの中に私のテンカラ道具(昔テンカラ)一式を見つけました。もうこれでやるしかない状況です。つまり一人はいつものフライ、一人は一回もやったことのない初めての「石徹白てんから」しかも竹竿・・・・結果はテンカラの子が6匹、フライの子が1匹・・・・やっぱりフライよりテンカラの方が釣れる?・・イヤ~イヤ~・・ただうまい子の方が釣れただけなんですわ。
テンカラをやった子が後で言ってました。「フライだったらもっと釣れたのに」って。

PS,
これがもしも、テンカラしかやったことがない人が、竿を忘れてフライでやらなければならなくなったら、どうだったんだろうと想定するとちょっと面白いですね?
[PR]

# by itoshiro-sp | 2015-05-29 16:23 | てんから  

在来渓魚ワークショップ(Wild Trout Work Shop)

今回の石徹白フィッシャーズホリデーから、メインイベントの趣向をがらりと変えて、「在来渓魚ワークショップ」(Wild Trout Work Shop)と銘打って石徹白川の生態系保全作業を実際に経験してもらうことになりました。皆さんが日頃釣りをしているフィールドの管理の現状と在来渓魚たちの生態環境を保護することの重要性を体験的に学んでいただこうという企画です。

a0108792_18302293.jpg

峠川C&R区間中流部の杉林にある細流を渓魚が遡上産卵可能な状態にする計画です。今回の作業現場ですがごらんのように荒れています。
a0108792_1834244.jpg

当日の作業に必要になる砂利の運搬作業などの下準備に行ってきました。(5月22日)
思えば、石徹白川とのこんな付き合いも、今年でかれこれ18年目(1,996年より)です。
そう言えば、この日、スキー場橋の下流右側の緩い流れの中に見えているサカナをカウントしてみたら約50匹確認出来ましたよ。さすがに私もあの密度にはおどろきました。あれ見たら誰もが感動するでしょう。(知らない人は成魚放流だと思ってるようですけどね。)
ちなみに18年前というと、当時、峠川は禁漁区だったんですけど橋の上からは、なぜかほとんど魚は見えなかったなぁ、どうしてだったのかなぁ。
a0108792_18361468.jpg

完成するとこんな感じのハッチェリークリークになる予定ですが、今回も2~3年がかりの計画です。上の画像は本流第一エンテイ下の人口産卵河川5年目(当日)です。3~5センチの稚魚がたくさん泳いでいます。美しい小川でしょ。
a0108792_18405118.jpg

なお当日、エンテイからの一番太いパイプがゴミで詰まっていましたので復旧してきました。早く気がついてセーフでした。
a0108792_18424854.jpg

本流は雪代でまだ少し増水中。マッちゃんの勇姿です。マッちゃんとも今年で18年ですか。

フィッシャーズホリデー転じてフィッシャーズワークデーになっちゃいましたね。誰も来てくれなかったりしてね?

イベント案内
http://www.itoshiro.jp/2014-itoshiro-fh/2014home.html
[PR]

# by itoshiro-sp | 2015-05-28 18:48 | イトシロ  

石徹白フィッシャーズホリデーで毛鉤販売します。

石徹白フィッシャーズホリデーまであと2週間です。
「石徹白てんから研究会」として毛鉤も販売しようと思い、久しぶりに100本ほど巻きました。
お店は「アトリエKAN」として出店し石徹白専用の竹竿(フライ用てんから用)、毛鉤、馬糸(ライン)、その他小物など私が作りためたいろいろな物を並べるつもりです。
a0108792_655346.jpg

毛鉤は伝統的なキハダシングロです。
フックは某メーカーのカン付きバーブレス14番ですが、じつは、先日ジョンからお土産としていただいた、イマージャーフックという名称で販売しているイギリスのフックとまったく同じもののような気がします。偶然でしたが私もテンカラ毛鉤にはこのフックばかり使っています。
毛鉤巻きは久しぶりでしたが、フライの毛鉤に比べたらとても単純なので100本なんてあっという間に巻けました。

a0108792_795868.jpg

元気になった姿を見てください。先日撮影用に釣りをした時の画像です。
約2年ぶりのテンカラ釣り、というか峠川で魚を釣るのはもっと久しぶりです。
C&R区間は今年から10尾までという釣数制限が設けられましたが個人的には10尾でも多いと思ってます。日本においてC&Rはきびしい制限であり、この制限を受け入れることができる釣り人だけが利用している釣り場ですから、リリースさえすれば制限無く釣っても良いと考える人はいないはずです。そんなことしてたらC&Rという行為について社会にちゃんと説明できる大義がなくなってしまいます。

下記は先日、中央水産研究センターの中村智幸氏からいただいたメールです。

「現時点」での「私」の「試算結果」をお知らせします。
  全長15cmの渓流魚を1尾増やすために必要な種苗代
    稚魚放流 413~1,042円
    発眼卵放流 158円
    親魚放流 78~155円
 どの方法を実施すれば安価で済むか、一目瞭然だと思います。
             増養殖研内水面研究部 中村

中村氏は水産庁に近い独立行政法人で渓流管理の研究をされており、石徹白川にも何度も視察に来てもらっている方です。つまり稚魚放流から15センチ以上まで育つためには1匹400円から1000円もかかっているってわけです。稚魚放流を熱心にやってる漁協にとっては日釣券1000円なら2匹まで年券でも10匹までしか釣られたら困るんですね。
そして、中村氏は「個人的見解では一般的な釣り場で1日に釣っても良い数は2~3匹が妥当である。8~9匹以上も釣りたい人は自然釣り場には向いてない釣り人です」と結んでおられます。
(注、8~9匹という数字は一般的な釣り人が一日にどれくらい釣りたいと思っているのかという調査の平均値だそうです)

石徹白C&Rの場合は、単純に生産コストだけを計算したらもっと安価になるかもしれませんが、天然魚ばかりという価値はいったいどれくらいになるんでしょうね?1匹3000円くらいは行くんじゃない?
いずれにせよ、ただ、たくさん釣りたいという人は石徹白川のようにきびしい制限の川には向いてないと考え他の河川へ行くべきです。

a0108792_7144790.jpg

若者に介護してもらってます。まるでご隠居ですな。もちろんこの一匹でじゅうぶん楽しませてもらい竿を納めました。

「釣って釣って釣りまくりたいなんて人たちに、来てほしくない。そんな人たちのためにここを作ったんじゃないよ」
そんな私の話にポールたちも「同じ気持ちだ」と共感してくれました。
a0108792_716634.jpg

言葉は違っても釣りの話なら、なんとなく通じちゃうんです。
左から、ジョン、スティーブン、私、ポール、

向こうの方で若者2人が黄昏れています。
川に来てもガツガツとせず悠々としてます。これぞイトシロスタイル、だってここのサカナたちは、何処へも行かないんですからあわてなくてもいいんです。
彼らは石徹白C&Rに育たられたイトシロチルドレンです。この余裕「カッケェ」でしょ。
[PR]

# by itoshiro-sp | 2015-05-24 07:17 | イトシロ  

イギリスの本に石徹白の記事が載りました。

石徹白川の取り組みがイギリスの野生鱒保護団体の機関誌に取り上げられました。
a0108792_1323849.jpg

上等な紙質の立派な機関誌です。
a0108792_13233344.jpg

「日本における野生渓流魚の保護事例を研究する」として紹介されています。
a0108792_1324149.jpg

イトシロッ子たちもイギリスの本にデビューしました。


昨年、「Wild Trout Trust」(ワイルド トラウト トラスト)という野生鱒保護団体に所属しているポール・ギャスクルというイギリス人が石徹白川を訪れました。私は、闘病中だったので会うことは出来ませんでしたが、彼がイギリスに戻ってから石徹白川での河川管理の軌跡と生態系保全の考え方をイギリスの機関誌へ執筆してくれないか?と依頼されたのです。何でも日本へ来ていろんな川を見て石徹白川のイワナの多さに感動したそうで、日本語で書いてくれれば良い、というお話だったのでお受けした次第です。

その本が届いたのです。それも仲間と4人で届けに来てくれました。
「遠い国の釣り人にまで注目される川になったんだな~。あきらめないでやってきてよかった。
でもね、日本では、まだまだぜんぜんマイノリティーなんですよ」「となりの漁協からも見に来ませんよ」って伝えたら「他の川も見て来たからわかります。人間が欲望をちょっとだけ我慢できればこんなに素晴らしい環境が取り戻せるのに残念ですね。でもイトシロハホントニスバラシイ」と何度も言ってくれました。褒めてくれるのはイギリス人だけってか・・・・涙

日本人は魚と見たら捕って喰いたいだけの人種ですから?、捕って喰っちゃダメとは言わないけどほどほどに頼みますわ。

a0108792_21223588.jpg

右からディーン(カメラマン)、ジョン(ロックバンドのベーシスト)、スティーブン(通訳)、私、ポール、今回はジョージとリンゴは来ませんでした。・・・な~んてね。笑。

ポールとジョンは昨年テンカラの取材で日本に来て石徹白川を知ったという。
二人とも子供の頃からフライフィッシングをやっていたと言うだけあって、私の作った石徹白フライロッドを振らせたらきれいなループを見せてくれた。もちろん「石徹白てんから竿」でも釣りをやってもらい、ポールがイワナを釣ってくれました。
彼らには伝統を守ることの大切さがとても良く理解できるようでしたし、私の作った「石徹白てんから竿」にも興味津々だったんで「イギリスで使ってくれ」って進呈しました。

ポールが僕に本を渡すときに「サイトサン、ツマラナイモノデスガ」って言ったんで僕の方からも「つまらないものですが」ってお返しときました。



本の内容につきましては、私が寄稿した日本語文を紹介します。
省略されてるとは思いますが、下記が原文です。

ワイルド・トラウト・トラスト寄稿資料

石徹白川(いとしろがわ)の紹介
南北に長い日本のちょうど真ん中あたり、日本海に注ぐ九頭竜川の上流部で合流する大支流が石徹白川です。その水源は白山連邦の南端から流れ出ます。九頭竜川水系はその大半が福井県内を流れますが、支流石徹白川の最上流部約20㎞は岐阜県となります。ここに石徹白という歴史の古い小さな集落があり、現在は約270人が暮らしています。この流域の岐阜県部分の河川管理は石徹白漁業協同組合が担います。

日本の河川管理事情
日本ではほとんどの河川を漁業協同組合という組織が管理しています。この組合は漁業法に基づき漁業者が設立する団体であり、各県の知事から認可を受けて県の指導に従う運営が通例となっています。本来は漁を生業とした漁師たちで構成される組織ですが、石徹白漁業協同組合には漁師と呼べる組合員は現状では一人もいません。漁業協同組合に漁業権が認可される条件として、指定された漁業権魚種の増殖と環境保全の義務を課せられているが、現実には増殖と環境保全のどちらにおいても、大して効果が上がっているとは言えない。その理由は、日本では漁業者及び遊漁者(釣り人)に対しての、漁獲制限はほとんど課されることがないので、漁業協同組合が県の方針に従いどれだけ種苗放流をしても、それを上回る乱獲構図により生態系はどうしても荒廃してしまいます。こうなることは種苗放流に偏った行政の指導方針に大きな要因があると思われます。

釣り人からの提案
今から15年前、そのような河川管理に疑問を持った釣り人が声を上げました。もっと河川環境の保全に重点を置いた、自然再生産ができる生態系を復活させようと、キャッチ&リリース(以下C&R)を義務付けた釣り場を作りましょうと提案したのです。それが上手くゆけば釣り場としてのクオリティと河川環境の両方が向上できるはずだというものでした。石徹白漁業協同組合はその提案を受け入れ、管内を流れる小支流の峠川にオールC&Rの釣り場を設けたのです。場所の設定には、何よりも魚たちが産卵できる環境を優先したことでその効果はすぐにあらわれ、その年の産卵期には産卵床が激増したのです。そして過去10年以上にわたり、養殖魚は一切放流していないにもかかわらず、魚の密度は管理流域内で一番高いエリアとなっています。この成功によって、産卵できる親魚を残しさえすれば生態系は復活できることが実証されたのです。我我が声を上げた15年前はC&Rを認めたくない人たちから「いったんハリにかかった魚はリリースしても死んでしまう」と言われたものですが、今ではもうそんなことを言う人はいなくなりましたし、漁業協同組合員の意識も大きく変わって、産卵床の造成、またその後の大規模な人口産卵河川造りへとつながり現在に至っています。

日本のC&R事情
日本では、魚釣りにおいて釣れた魚を食べることは当然というのが社会通念であり、釣った魚を放すことはまったく理解されない国でした。「食べないのなら何のために釣りをするの?」が一般的な考え方です。そのうえ、日本には遊びの釣りを管理する法律がなく、すべて漁業法のもとで管理されており、指導する行政もC&Rなどは漁業的にありえないという考え方になるのです。そのため行政は長年にわたり、釣り人が釣りたいだけ釣って、カラッポになってしまった川に、養殖の種苗を放流すれば、それでいいという指導を続けてきました。ようするに、日本の河川管理には産卵のための親魚を残す発想がまったくないのです。残念ながら今でもほとんどの河川でこのような管理がなされています。
このような日本において、C&Rを導入することはまだまだ大変なことで、一漁協の管理面積のほんの数%をC&R区間にするだけでも、かなりハードルは高いのが現状です。

人口産卵河川
日本には急勾配な河川が多く、ほとんどの川の上流部はいくつもの砂防堰堤等で寸断されているため、この堰堤が魚たちの生態系にとって大きな障害になっています。特に産卵のために上流を目指すイワナやヤマメには深刻な障害となり、秋になると堰堤直下は行き場を失った魚たちの溜り場となってしまいます。石徹白川では、このような弊害を補助するために、本流の第一堰堤下流の右岸に、人工的な産卵用小河川を造成しました。川幅1m~1.5mで全長200mとけっこうな規模であり、秋になると多くの魚たちがここを利用します。とくにイワナは産卵においてこのような細流を好むので、毎年10月下旬から11月にかけて大量のイワナで溢れます。このような管理手法は、最初にそれなりの工事が必要となりますが、一度作ってしまえば毎年産卵期前のメンテナンス程度で長年にわたり効果を維持することができ、大変持続性の高い管理法といえます。そして何より、ここで再生産され命をつないでゆくことが、より石徹白川に適合する遺伝子が引き継がれ、強い野生魚の増殖が実現します。また、このような循環型の管理には、環境保全という大義が生まれるので、釣り人だけでなく自然を愛する一般市民からも支持が得られることが、関係者のやりがいにつながります。この人口河川事業も、最初から100%の成果が得られたわけではありません。最初は手探りで始めたものも、2年目3年目になるとイワナが好む流速などもなんとなく分かってきますし、孵化した後の仔魚や稚魚期の生息環境も考えられるようになってきます。毎年このような改善を重ねてゆくことで、人工河川の産卵環境は確実にレベルアップしています。4年目を迎えた今では、自然の小川と区別がつかないほどになっています。そして、生態系の循環が簡単に観察できる教育の場という、副次的効果も生まれました。

小学校つりクラブ
石徹白地区の小学校は全校生徒10人です。3年生から6年生の子供たちに週1回、フライフィッシングを教えて4年目になります。学校はC&Rエリアの近くのため、子供たちは歩いてやってきます。つりクラブなので、もちろん釣りも教えますが、我々が子供たちに本当に伝えたいことは、ふるさとのこの素晴らしい自然環境は何物にも代えがたいもので、そこに生息するすべての生き物は、ここに暮らす人々の大切な仲間であることと、その自然を未来につなげてゆくことを大切と考える人になってほしいということです。そして、やがてこの子たちが石徹白地区を担ってゆく大人になるのです。

在来イワナ個体群の保護
日本のイワナは、分類的には1種類とされていますが、各水系ごとに独自の進化をしてきた個体群が生息し、その外見的特徴にもずいぶん違いがあることが確認されています。ところが、長年にわたる放流主体の管理により養殖魚との交雑が進み、在来の個体群が絶えてしまった生息地が多くなっています。さいわい石徹白川水系には、過去に放流されたことのない支流が何本かあり、その奥にひっそりと在来個体群が生息しています。それは一見して血が濃いとわかる特徴のあるイワナたちで、鑑定の結果、未発見のDNA型群と証明されています。このような生態系では、違う遺伝子をもつイワナの密放流が深刻な打撃となります。釣り人が良かれと思い下流で釣った魚を移植放流するケースもあり、そのような行為がたった一回されるだけでも、遺伝的な純潔は簡単に絶えてしまいます。このようなイワナたちを守る活動も重要と考えます。

文化の伝承 石徹白てんから研究
石徹白には昔から「てんから」と呼ばれる伝統的な釣り方が伝わっています。山野に自生する竹から3m弱の一本竿を作り、馬の尾の毛を6本5本4本とテーパーに縒ったものを、竿と同じくらいの長さのラインにします。その先に90㎝くらいのハリスを結び、先端に毛ばりを一本だけ付けるという、いたってシンプルな道具を使う釣りです。かつて、石徹白のような山村では自給自足が原則だったため、村の男は皆「てんから」で魚を釣ったのでしょう。仕事を終えた夕方、ちょっと川に行き家族の食べる分を釣ってくるのにもってこいの釣り方だったはずです。このような昔ながらの「てんから」を伝えられる人は今では地区に3人しかいません。このままではこの古いスタイルの「てんから」は確実に絶えてしまうことを危惧し、「石徹白てんから」を伝承してゆく活動もはじめました。もちろん昔ながらのスタイルにこだわり道具から再現しています。また子供たちの「つりクラブ」でも、地区に伝わる伝統文化として紹介しています。

命をつなぐ川づくり
我々が石徹白で行っている活動の全てに共通しているテーマは「命をつなぐ」ということです。生き物たちが命をつないでゆける自然環境を未来に引き継いでゆくことが、最も大切なことだと考え行動しています。人が自然を管理すると、どうしても人間本位の偏った環境になりがちです。人間にとって利用価値のある生き物だけがいくら繁栄してもダメなのです。本当の自然環境保全とは、人間が何もしないことなのかもしれませんが、個人で今すぐ実践できることとして、私たち一人一人が自然に対し、できる限りダメージを与えない関わり方を意識することではないでしょうか。私たちはこれからも石徹白から「命をつなぐ川づくり」という言葉を発信してゆき、日本中の河川管理にこの考え方が根付くことを願っています。
[PR]

# by itoshiro-sp | 2015-05-23 13:59 | イトシロ  

マイ バイブル

a0108792_2022656.jpg


a0108792_2023045.jpg


瀬戸際の渓魚たち
セトギワノサカナタチと読みます。
著者は佐藤成史サトウセイジ氏、つり人社刊フライフィッシャー誌に37回(No13~49)にわたって連載されたものをまとめられたスゴイ本です。

以下に、まえがきより抜粋してみました。

「日本全国には、貴重な鮭鱒類の小集団がたくさん見られる。そんな彼らが置かれている境遇は一様に厳しく、いつ果てるともしれぬ状態にある。そんな彼らこそが本書の主人公、すなわち瀬戸際の渓魚である。生物学的に、地理的に、また環境的に瀬戸際に瀕している彼らは、常に絶滅と背中合わせの状態なのだ。そしてその背景には必ず人間の影が見え隠れする。・・・中略・・・・そこには乱開発とか環境破壊といった社会的要因だけでなく、ただいたずらに大量の魚を捕らえることで歓喜する、愚かな釣り人たちの存在を消し去ることができない。社会的モラルに欠けた釣り人たちが環境に与える悪影響は驚くほど大きいのである。・・・中略・・・・・もしも貴方が自然を愛する人で、そして釣りが好きで、魚が好きならば、こんな瀬戸際の世界から目を逸すべきではないと思う。現実を直視して、一人の釣り人としてではなく、一人の社会人として、そんな瀬戸際の世界を見つめてほしいと熱望する。この書は、滅びゆく渓魚たちへの鎮魂歌とするために書かれたものではないのである。」
と結ばれています。

私は、この記事が掲載されているフライフィッシャー誌はすべて購読していますが、こうして単行本となった本書を見ると、あらためてこの著者のレポート力の確かさと写真(当時はフィルムだった)の美しさ、そしてこの取材のほとんどを、たった一人でやり遂げた行動力(情熱、熱狂?)に脱帽するばかりです。著者にとって30才代のライフワークだったそうだが、この本を読んだ多くの釣り人に初めて釣りにおける環境的モラルという意識を目覚めさせたであろうという、功績には計り知れないものがあると思うのです。
もちろん私にとっても、この本はバイブルであり、その後、石徹白川でのキャッチ&リリース活動につながっていきます。もしも私がこの本と出会ってなかったとしたら、石徹白の峠川C&R区間はなかったかもしれません。

佐藤成史という人は、他の多くの釣り名人たちとはまったく異なった視点を持ったフライフィッシャーマンといえます。私にとっても釣りに関するかぎり、たった一人の師と思っています。(彼は私より2才年下ですけどね)
貴方が自然を愛する釣り人ならば、テンカラやルアーの人にもぜひ読んでもらいたいものです。釣り場の環境意識が変わるはずです。(今でもアマゾンなどで古本は手に入るらしい)

そして、このレポートにおけるすべての魚を著者自身がフライで釣って撮影していることに驚愕することでしょう。

a0108792_20274235.jpg

当時この写真に驚いたものです。(リバーサルフィルム写真ですよ)

B.B.キングが亡くなりましたね。
https://www.youtube.com/watch?v=ApMd-qOFyDE
彼が亡くなっても、音源は永遠ですからね。
[PR]

# by itoshiro-sp | 2015-05-14 20:20 | 魚のはなし